1. ヤサカ 輝龍Ⅱとは?
ヤサカ(Yasaka)が2024年春に発売した『輝龍Ⅱ(きりゅうツー)』は、強烈なスピン性能と優れた扱いやすさの両立を目指して開発されたテンション系粘着裏ソフトラバーです。前作『輝龍』や兄弟ラバー『翔龍』シリーズの流れを汲みつつ、現代の卓球スタイルに合わせて再設計されました。
そのコンセプトは、粘着ラバー特有の回転量の多さや台上でのコントロール性能を維持しながら、テンションスポンジの弾みを取り入れることで、より幅広いプレースタイルの選手に対応することです。これにより、従来の硬くて扱いにくい中国製粘着ラバーのイメージを覆し、「使いやすい粘着テンション」という新たな選択肢をプレーヤーに提供しています。
2. 輝龍Ⅱの技術仕様と性能評価
基本スペック
輝龍Ⅱの公式スペックは以下の通りです。生産国は中国で、粘着ラバーの製造技術に定評のある環境で開発されています。スポンジ硬度は45~50°と、粘着ラバーの中では比較的扱いやすい範囲に設定されています。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 商品名 | 輝龍Ⅱ (SHINING DRAGON II) [B-54] |
| タイプ | テンション系粘着裏ソフト |
| 生産国 | 中国 |
| 発売日 | 2024年春 |
| スポンジ硬度 | 45~50° |
| 厚さ | 特厚、厚、中 |
| カラー | 赤、黒 |
| 定価 | 5,500円(税込) |
パフォーマンス評価
ヤサカが公表している性能指数を見ると、輝龍Ⅱの特性がよくわかります。スピン性能は「14-」と非常に高く評価されており、これは粘着性トップシートの能力を最大限に引き出していることを示しています。サービスやループドライブで強烈な回転をかけたい選手にとって、大きな武器となるでしょう。
一方で、コントロール性能も「10+」と高く、粘着ラバーならではの球持ちの良さが安定したプレーをサポートします。ストップやツッツキなどの台上技術がやりやすく、相手の強打に対してもコントロールしやすいのが特徴です。
スピードは「10-」と、近年のハイスピードなテンションラバーと比較すると控えめですが、これは意図的な設計です。スピードを若干抑えることで、スピンとコントロールのバランスを取り、より多くのプレーヤーがその性能を実感できるように調整されています。
3. 輝龍Ⅱの3つの主要な特徴
特徴①:粘着性トップシートがもたらす強烈なスピン
輝龍Ⅱの最大の特徴は、新設計の粘着性トップシートです。このトップシートがボールをしっかりと掴むことで、他のラバーでは難しいほどの強烈な回転を生み出します。特に、サービスや台上プレーでの切れ味は抜群で、ヤサカ契約選手の岡崎日和選手も「サービスエースが確実に増えた」と評価しています。ループドライブでは低く沈むような軌道を描き、相手を翻弄します。
特徴②:扱いやすさを両立する「やや柔らかめ」のテンションスポンジ
粘着ラバーは硬くて扱いにくいというイメージがありますが、輝龍Ⅱは「やや柔らかめ」のテンションスポンジ(硬度45~50°)を組み合わせることで、その課題を克服しています。このスポンジが適度な食い込みと弾みを生み出し、パワーに自信がない選手でもボールを飛ばしやすくしています。あるレビュアーは、「硬度は最近のハイエンドラバーと比べれば硬くはないが、中間硬度ラバーよりはしっかり硬い」と評しており、絶妙なバランスが取れていることがうかがえます。(出典:ユーザーレビューブログ)
特徴③:安定した弧線と独特な弾道
トップシートの強い回転性能とスポンジの食い込みやすさの相乗効果により、輝龍Ⅱは非常に安定した弧線を描くことができます。これにより、ドライブのミスが減り、ラリーの安定性が向上します。さらに、卓球専門誌のレビューによれば、中国製粘着ラバー特有の「バウンド後の変化」も健在です。ループドライブは低く沈み、引き合いでは相手コートで高く跳ねるなど、予測しにくい弾道で相手のミスを誘うことができます。この個性と安定性の両立が、輝龍Ⅱの稀有な魅力と言えるでしょう。
4. どのような選手におすすめか?
粘着ラバー初心者から中級者へ
「粘着ラバーに挑戦したいけれど、硬すぎて扱えるか不安」という選手に、輝龍Ⅱは最適な一枚です。テンションラバーに近い感覚で打てる場面も多く、パワーがなくてもボールを飛ばせるため、粘着ラバーへの入門用として非常に優れています。
台上技術とサーブを武器にしたい選手
ストップ、ツッツキ、チキータといった台上技術の精度を高め、サーブで主導権を握りたい選手にとって、輝龍Ⅱは強力なパートナーとなります。ボールを薄く捉えてもしっかりと回転がかかるため、繊細なボールタッチが求められるプレーで真価を発揮します。前陣での速攻や、サーブからの3球目攻撃を主体とするプレースタイルに最適です。
安定性とコストパフォーマンスを求める選手
輝龍Ⅱは、定価5,500円(税込)と、1万円を超えることも珍しくないハイエンドラバーに比べて非常に手頃な価格設定です。それでいて、中級者から上級者まで満足できる高い性能と安定性を備えています。あるレビューでは「犠牲になっている部分がむしろ味になったり、扱いやすくなったりしてるのが激アツ」と評されており、卓越したコストパフォーマンスを求める選手には見逃せない選択肢です。
5. 輝龍Ⅱと他の人気ラバーとの比較
兄弟ラバー「翔龍Ⅱ」との違い
ヤサカには『翔龍Ⅱ』というもう一つの粘着テンションラバーが存在します。両者の主な違いは硬度とプレースタイルへの要求です。『翔龍Ⅱ』はスポンジ硬度が47~52°と輝龍Ⅱより硬く、より中国ラバーらしい粘着特有の打ち方が求められます。一方、輝龍Ⅱはスポンジが約2度柔らかく、よりテンションラバーに近い感覚で扱えるため、万人受けするバランス型と言えます。
「使いやすい中国製粘着テンション」の王道を引き継いだのは、この『輝龍Ⅱ』だと言えるかもしれない。もちろん、使いこなす技術とパワーがあるなら『翔龍Ⅱ』を選ぶと良いだろう。
ハイエンド粘着テンションラバーとの比較
Butterflyの『ディグニクス09C』などのハイエンド粘着テンションラバーと比較すると、輝龍Ⅱはいくつかの点で異なります。一般的に、ハイエンドラバーはより高いスピード性能と、強打時のエネルギー効率に優れますが、その分価格も高く、プレーヤーに高い技術レベルを要求します。 対照的に、輝龍Ⅱは最高速度では劣るものの、コントロール性能と安定性、そしてコストパフォーマンスで優位に立ちます。ハイエンドラバーの性能を十分に引き出せない中級者にとっては、輝龍Ⅱの方が試合で結果を出しやすい可能性があります。
6. 購入ガイドとメンテナンス
Amazonで購入可能な輝龍Ⅱ
『輝龍Ⅱ』は、卓球専門店だけでなく、Amazonなどのオンラインストアでも手軽に購入できます。厚さ(特厚、厚、中)や色(赤、黒)を選べるため、自分のプレースタイルに合ったものを見つけましょう。
ヤサカ(YASAKA) 卓球 裏ソフトラバー 輝龍Ⅱ
粘着性トップシートとテンションスポンジが融合した、スピンと安定性を両立するラバー。中級者から上級者まで幅広く対応。
Amazonで詳細を見る※在庫状況や価格は変動する可能性があります。リンク先でご確認ください。
ラバーの寿命とメンテナンス方法
輝龍Ⅱはユーザーレビューで「寿命が長い」と評価されており、コストパフォーマンスの良さをさらに高めています。しかし、粘着ラバーの性能を維持するためには、適切なメンテナンスが不可欠です。
- 使用後の清掃: 練習後は、ラバークリーナーや水で湿らせたスポンジで表面のホコリや汚れを優しく拭き取ります。これにより粘着力が回復します。
- 保護フィルムの使用: 清掃後は、粘着ラバー専用の保護フィルムを貼ることで、表面の酸化やホコリの付着を防ぎ、寿命を延ばすことができます。
- 保管場所: 直射日光や高温多湿を避け、専用のラケットケースに入れて保管してください。
ラバー表面の粘着性が失われたり、白っぽくなったり、打球感が大きく変わったりしたら交換のサインです。一般的に、週4〜5回練習する選手であれば2〜3ヶ月が交換の目安とされていますが、輝龍Ⅱはそれ以上の期間、性能を維持できる可能性があります。
7. まとめ
ヤサカの『輝龍Ⅱ』は、粘着ラバーの強烈なスピン性能と、テンションラバーの扱いやすさ・弾みを絶妙なバランスで融合させた、非常に完成度の高いラバーです。
特に、「粘着ラバーに挑戦したい中級者」「サーブや台上技術で得点したい選手」「安定性とコストパフォーマンスを重視する選手」にとって、これ以上ない選択肢となるでしょう。ハイエンドラバーに匹敵するスピン性能を持ちながら、より多くのプレーヤーがその恩恵を受けられるように設計されており、現代卓球における新たなスタンダードとなりうるポテンシャルを秘めています。
自分の卓球を一段階レベルアップさせたいと考えているなら、この輝龍Ⅱを試してみる価値は十分にあります。




