2025年11月30日から中国・成都で開催されている「ITTF混合団体ワールドカップ2025」。日本代表は破竹の勢いで連勝を重ね、卓球ファンの注目を集めています。その快進撃の中心にいるのが、井村屋グループ所属の戸上隼輔選手です。本記事では、12月5日までの試合結果を基に、戸上選手のパフォーマンスと日本チームの戦略を深く掘り下げ、今後の展望を解説します。
日本代表はステージ1から無傷の7連勝を飾り、優勝候補として圧倒的な強さを見せつけています。戸上隼輔選手は混合ダブルスと男子ダブルスの両方で起用され、特に勝負どころでの安定したプレーでチームの勝利に大きく貢献しています。
大会概要と日本の快進撃
今大会は、男女の垣根を越えた団体戦として、卓球界の新たな魅力を提示しています。まずは基本的な大会情報を確認しましょう。
大会日程と試合形式
ITTF混合団体ワールドカップ2025は、2025年11月30日から12月7日まで、中国・成都の四川体育館で開催されています。
- ステージ1:16チームが4つのグループに分かれ、総当たり戦を実施。各グループの上位2チームがステージ2に進出。
- ステージ2:ステージ1を勝ち上がった8チームによる1つのグループで総当たり戦。ただし、ステージ1で既に対戦したチームとは再戦せず、結果が持ち越されます。
- ステージ3:ステージ2の上位4チームが準決勝、3位決定戦、決勝に進出します。
試合は、混合ダブルス、女子シングルス、男子シングルス、女子ダブルス、男子ダブルスの順で行われ、先に合計8ゲームを先取したチームが勝利となります。この特殊なルールが、各試合のゲームカウントを重要にし、戦略的な選手起用を促しています。
戸上隼輔の全試合結果と分析(12月5日時点)
戸上選手は今大会、混合ダブルスと男子ダブルスのスペシャリストとして、重要な場面で起用され続けています。彼のここまでの戦績を振り返ります。
ステージ1:盤石のスタートを支えた混合ダブルス
日本チームはステージ1を3戦全勝で危なげなく突破。戸上選手は全試合に出場し、チームに勢いをもたらしました。
- vs オーストラリア (○ 8-1): 早田ひな選手との混合ダブルスで出場し、3-0のストレート勝利でチームの圧勝劇の口火を切りました。
- vs インド (○ 8-4): この試合では張本美和選手とペアを組み、混合ダブルスで3-0の快勝。シングルスで苦戦する中、貴重なリードを築きました。
- vs クロアチア (○ 8-2): 再び早田選手とペアを組み、混合ダブルスで2-1と競り勝ち、チームの勝利に貢献しました。
ステージ1では、異なるパートナーと組んでも安定した結果を残し、初戦の混合ダブルスを確実にものにするという重要な役割を果たしました。
ステージ2:重要局面での起用と勝利への貢献
強豪が集うステージ2でも、戸上選手の活躍は続きます。特に、試合の流れを決めるダブルスでの勝負強さが光りました。
- vs ドイツ (○ 8-3): チームが5-3とリードした場面で、松島輝空選手との男子ダブルスに出場。2-0で勝利し、日本の勝ち星を確定させました。
- vs スウェーデン (○ 8-0): 早田選手との混合ダブルスで先陣を切り、シェルベリ兄妹ペアに3-0で圧勝。特に第1ゲームは18-16という大接戦をものにし、「大事な1ゲーム目を2人で話し合って戦い抜いた結果」と試合後に語っています。
- vs 韓国 (○ 8-2): 強敵・韓国戦でも早田選手との混合ダブルスで2-1と勝利し、チームを勢いづけました。さらに、チームの勝利まであと1ゲームに迫った場面で篠塚大登選手との男子ダブルスで登場し、第1ゲームを奪取。日本の勝利を決定づけました。
ステージ2では、試合の序盤で流れを作る混合ダブルスと、試合を締めくくる男子ダブルスの両方で起用され、ベンチの期待に完璧に応えるパフォーマンスを見せています。
日本の快進撃と戸上隼輔の戦略的役割
日本チームの強さは、個々の選手の能力の高さはもちろん、その戦略的な選手起用にもあります。その中で戸上選手が担う役割は非常に大きいと言えます。
チームの戦績サマリー(7戦全勝)
日本は12月5日までにステージ1・2を通じて7試合を戦い、全勝を維持しています。特にステージ2では、香港、ドイツ、スウェーデン、韓国といった強豪を次々と撃破。そのスコアも圧巻です。
ステージ1
- 11月30日: ○ 8-1 vs オーストラリア
- 12月01日: ○ 8-4 vs インド
- 12月02日: ○ 8-2 vs クロアチア
ステージ2
- 12月03日: ○ 8-2 vs 香港
- 12月04日: ○ 8-3 vs ドイツ
- 12月04日: ○ 8-0 vs スウェーデン
- 12月05日: ○ 8-2 vs 韓国
7試合で失ったゲーム数はわずか14。1試合平均2ゲームしか落としていない計算になり、その安定感が際立っています。
多彩なペアリングと戦略の要
戸上選手は今大会、混合ダブルスで早田ひな選手、張本美和選手と、男子ダブルスでは松島輝空選手、篠塚大登選手とペアを組んでいます。これは、対戦相手や試合状況に応じて最適なペアを送り出すという日本ベンチの戦略の表れです。
特に、世界ランキング上位の早田ひな選手との混合ダブルスペアは、日本の得点源として絶大な信頼を置かれています。一方で、ドイツ戦や韓国戦の最終盤で見せた男子ダブルスでの起用は、試合を確実に締めくくる「クローザー」としての役割も担っていることを示しています。
彼の右シェークドライブ型から繰り出される速攻と、パートナーを生かす柔軟なプレースタイルが、この多彩な起用を可能にしているのです。
今後の展望:最強中国との頂上決戦へ
無敗で快進撃を続ける日本。ステージ2のクライマックスは、12月6日に待っています。
12月6日の重要対戦スケジュール
日本時間12月6日、日本はステージ2の残り2試合に臨みます。特に、同じく全勝で勝ち進んできた卓球王国・中国との直接対決は、事実上の決勝戦とも言える大一番です。
- 13:00 (日本時間) vs 中国
- 20:00 (日本時間) vs フランス
中国もここまで圧倒的な強さで勝ち上がっており、この試合の結果がステージ2の1位通過、ひいては大会全体の行方を大きく左右します。戸上選手が、世界最強の王楚欽/孫穎莎ペアと混合ダブルスで対峙するのか、あるいは他の選手とのペアリングで挑むのか、その起用にも注目が集まります。
決勝トーナメントへの道
12月6日の試合結果を以てステージ2の最終順位が確定し、上位4チームが12月7日の決勝トーナメント(ステージ3)に進出します。日本は既に進出をほぼ確実にしていますが、1位通過を果たし、準決勝で有利な組み合わせを得るためにも、中国戦での勝利が極めて重要となります。戸上選手と日本代表の最終決戦から目が離せません。
大会情報
日本代表メンバー
今大会に臨む男女8名の日本代表選手は以下の通りです。
- 男子: 張本智和、戸上隼輔、松島輝空、篠塚大登
- 女子: 早田ひな、張本美和、伊藤美誠、大藤沙月
視聴方法
日本国内での主なテレビ放送およびインターネット配信は以下の通りです。
- テレビ放送: テレビ東京系列で連日放送。
- インターネット配信: U-NEXTで日本戦を独占ライブ配信。また、テレ東卓球チャンネル(YouTube)やITTF公式YouTubeチャンネルでも配信が行われています。




