ヤサカ 翔龍Ⅱ:勝利を掴むための粘着テンションラバー徹底解説


2024年春、ヤサカから登場した「翔龍Ⅱ(ショウリュウツー)」は、多くの卓球プレイヤーの注目を集めるテンション系粘着ラバーです。前作「翔龍」のコンセプトを継承しつつ、現代卓球のニーズに応えるべく性能をアップデート。本記事では、公式情報と数々のレビューを基に、翔龍Ⅱの性能、特徴、そしてどのようなプレイヤーに最適なのかを徹底的に掘り下げます。

翔龍Ⅱとは?- 2024年、ヤサカが放つ新たなる一手

「翔龍Ⅱ」は、日本の老舗卓球メーカーであるヤサカが2024年春に発売した粘着性の裏ソフトラバーです。中国で製造されており、粘着ラバー特有の強烈な回転性能と、テンションラバーの持つスピードと弾みを高次元で両立させることを目指して開発されました。その性能は、と評されるほど、競技志向のプレイヤーに向けた本格的な仕様となっています。

製品概要とスペック

まずは翔龍Ⅱの基本的なスペックを確認しましょう。これらの数値は、ラバーの性格を理解する上で重要な指標となります。

  • 種類: テンション系粘着裏ソフトラバー
  • メーカー公表性能値:
    • スピード: 10
    • スピン: 14-
    • コントロール: 9+
  • スポンジ硬度: 47~52°
  • 厚さ: 中、厚、特厚
  • カラー: 赤、黒
  • 製造国: 中国
  • 定価: 5,500円(税込)

特筆すべきはスピン性能「14-」という高い数値と、スポンジ硬度「47~52°」という硬めの設定です。これにより、ボールを薄く捉えて強烈な回転をかけるプレーと、インパクトの強さで威力を出すプレーの両方に対応できるポテンシャルを秘めていることがわかります。

開発コンセプト:粘着とテンションのさらなる融合

翔龍Ⅱの開発コンセプトは、という言葉に集約されています。具体的には、ボールを掴む感覚に優れた新設計の粘着性トップシートと、反発力の高いハードなテンションスポンジを組み合わせています。これにより、以下の2つの要素を両立させています。

  1. 粘着ラバーの長所: サーブやツッツキ、ストップといった台上プレーでの高い回転性能とコントロール性能。
  2. テンションラバーの長所: 強打時のスピード感あふれるパワードライブと、ラリー戦での飛距離。

前作の翔龍が「直線的な弾道」でスピードを重視していたのに対し、翔龍Ⅱはより回転性能を強化し、ボールが弧線を描くように調整されています。これは、現代卓球で主流となっている、回転量の多いループドライブでチャンスを作り、ラリー戦を優位に進めるプレースタイルへの適応と言えるでしょう。

性能を徹底分析:翔龍Ⅱの3大特徴

翔龍Ⅱの性能は、主に3つの技術的特徴によって支えられています。ここでは、それぞれの特徴が実際のプレーにどう影響するのかを解説します。

特徴①:強烈なスピンを生む新設計「粘着性トップシート」

翔龍Ⅱの最大の特徴は、ヤサカが新設計した粘着性のトップシートです。このシートはボールをしっかりと掴む感覚が強く、摩擦力に優れています。そのため、サービスや台上でのツッツキ、ストップといった短いプレーにおいて、強烈な回転をかけることが容易になります。相手のレシーブを限定させ、次の攻撃に繋げる展開を作りやすくなるのは、粘着ラバーならではの大きなメリットです。

特徴②:威力を加える「ハードテンションスポンジ」

粘着性のトップシートと組み合わされるのは、47~52°という硬めのテンションスポンジです。このハードなスポンジが、強打時にラバー全体が過度に食い込むのを防ぎ、インパクトのエネルギーを効率よくボールに伝えます。結果として、粘着ラバーでありながらも、スピード感のある威力十分なパワードライブを放つことが可能になります。特に、パワーヒッターが強くインパクトした際には、回転量の多い重いボールが出ると評価されています。

特徴③:安定感と威圧感を両立する「高い弧線」

前述の粘着シートとハードスポンジの組み合わせは、ボールに高い弧線を描かせる効果も生み出します。ドライブを打った際に、ボールが山なりの軌道を描いて相手コートに収まるため、ネットミスを減らし、安定したラリー展開が可能になります。レビューではと指摘されており、中・後陣での引き合いにも強いことがうかがえます。この高い弧線は、相手にとってはボールの頂点を捉えにくく、ブロックやカウンターが難しいという威圧感も与えます。

実打レビューから見る翔龍Ⅱの真価

カタログスペックだけではわからない、実際の使用感はどうでしょうか。複数の試打レビューから、翔龍Ⅱのリアルな評価を探ります。

ドライブとラリー:パワーヒッター向けの進化

多くのレビューで共通しているのは、翔龍Ⅱが「回転重視の打ち方で真価を発揮する」という点です。特に、という評価があり、ただ当てるだけでなく、ボールを擦り上げるように打つことで、回転とスピードが両立した質の高いボールが生まれます。

一方で、ミート打ち(ボールをフラットに叩く打法)はあまり飛ばないという意見も見られます。しかし、「力強くインパクトすればそれなりの速度は出る」とも言われており、総じてある程度のスイングスピードとパワーを持つプレイヤーが、その性能を最大限に引き出せるラバーと言えそうです。

台上技術とブロック:粘着ラバーならではの強みと注意点

台上技術に関しては、粘着シートの恩恵が大きく、回転をかけやすいストップやツッツキ、チキータが高いレベルで実行可能です。しかし、ブロックには少しクセがあります。相手の回転に影響されやすく、という指摘があります。

その代わり、ラケットの角度を被せて積極的にボールを押しにいく「伸ばすブロック」では、驚くほどボールが伸び、相手を詰まらせることができます。この技術はトップクラスと評されており、守備から攻撃に転じる起点として非常に有効な武器になり得ます。

テンションラバーからの移行は容易か?

翔龍Ⅱは、テンションラバーユーザーが粘着ラバーに挑戦する際の「最初の1枚」としてしばしば推奨されます。その理由は、従来の中国製粘着ラバーほどクセが強くないためです。打球の軌道が比較的上に上がることや、テンションスポンジによる弾みがあることから、という声もあります。

ただし、純粋なテンションラバーとは打球感や求められるインパクトが異なるため、慣れは必要です。特に、回転のかかっていないボールを打つ際には、自分で回転を生み出す意識が重要になります。

翔龍Ⅱ vs ライバルラバー比較

翔龍Ⅱを選ぶ上で、他のラバーとの違いを理解することは非常に重要です。ここでは、主要なライバルラバーとの比較を行います。

翔龍Ⅱ vs 輝龍Ⅱ:兄弟ラバーの選択基準

同時期に発売された「輝龍Ⅱ」は、翔龍Ⅱの兄弟分とも言えるラバーです。両者の最も大きな違いはスポンジ硬度にあります。

  • 翔龍Ⅱ: 硬度47~52°。より硬く、パワーと威力を重視。強打時のボールの重さやスピードに優れる。
  • 輝龍Ⅱ: 硬度45~50°。やや柔らかく、安定性と扱いやすさを重視。ボールの食い込みが良く、安定した弧線を描きやすい。

レビューによれば、輝龍Ⅱはバック面での使用や、粘着ラバー初心者にも扱いやすいとされています。一方、翔龍Ⅱはよりパワフルなプレーを求める選手や、フォア面での決定力を高めたい選手に向いています。自分のプレースタイルや求める性能に応じて、「威力の翔龍Ⅱ」か「安定の輝龍Ⅱ」かを選ぶと良いでしょう。

翔龍Ⅱ vs ラクザZシリーズ:ヤサカ内での位置づけ

ヤサカにはもう一つの人気粘着テンションラバー「ラクザZ」シリーズがあります。ラクザZはドイツ製で、翔龍Ⅱ(中国製)とは製造国が異なります。一般的に、ラクザZはよりテンションラバーに近い特性を持ち、粘着は控えめです。特に「ラクザZ エクストラハード」は硬いスポンジを持ちますが、翔龍ユーザーからは「シートが柔らかく感じる」という意見があり、トップシートの性格が異なることがわかります。

より強い粘着性と中国ラバー特有の球質を求めるなら翔龍Ⅱ、テンションラバーのフィーリングを保ちつつ回転量を増やしたいならラクザZシリーズ、という棲み分けが考えられます。

翔龍Ⅱ vs 中国製粘着ラバー(キョウヒョウ等):扱いやすさの差

DHS社の「キョウヒョウ」シリーズに代表される伝統的な中国製粘着ラバーと比較すると、翔龍Ⅱは明らかに「弾む」ラバーです。キョウヒョウシリーズがその性能を最大限に引き出すために補助剤の使用が半ば前提となっているのに対し、翔龍Ⅱはテンションスポンジを内蔵しているため、そのまま使用しても十分な弾みが得られます。

あるレビューでは翔龍Ⅱを「弾む中国ラバー」と表現しており、キョウヒョウほどのクセの強さや扱いの難しさはないものの、粘着ラバーらしい球質や回転性能はしっかりと感じられる、バランスの取れたラバーと言えます。

翔龍Ⅱを最大限に活かすプレイヤー像

これまでの分析を踏まえ、翔龍Ⅱがどのようなプレイヤーにとって最高の武器となるのかをまとめます。

こんな選手におすすめ!

  • 台上プレーから先手を取りたい選手: 粘着シートによる高い回転性能で、質の高いサービスやストップを武器にしたい選手。
  • ラリーで打ち勝ちたいパワーヒッター: 自分のスイングで威力のあるドライブを連打し、ラリーの主導権を握りたい選手。
  • バックハンドでチャンスメイクしたい選手: 特にバックでの使用を推奨する声もあり、チキータやカウンタードライブで得点機を演出したい選手。
  • テンションから粘着へ移行したい選手: 従来の中国ラバーよりも扱いやすく、テンションラバーの打ち方に近い感覚で移行できるため、粘着ラバー入門として最適。
  • コストパフォーマンスを重視する選手: ハイエンドラバーに匹敵する性能を持ちながら、比較的手頃な価格で入手したい選手。

使用上の注意点:個体差とインパクトの重要性

翔龍Ⅱを選ぶ際には、いくつかの注意点も理解しておく必要があります。最も重要なのが「個体差」です。中国製ラバー全般に見られる傾向ですが、翔龍Ⅱも「マジでバラつく」と複数のレビューで指摘されています。同じ製品でも硬さや重さが異なる場合があるため、可能であれば信頼できる店舗で選んで購入することが推奨されます。

また、このラバーはプレイヤーのインパクトの強さを要求します。中途半端なスイングではボールが失速したり、ネットを越えなかったりすることがあります。性能を引き出すには、常にしっかりとしたインパクトでボールを捉える意識が不可欠です。

まとめ:翔龍Ⅱは「買い」か?

ヤサカ「翔龍Ⅱ」は、「回転」「威力」「コストパフォーマンス」の三拍子が揃った、非常に魅力的なテンション系粘着ラバーです。

粘着ラバー特有の回転性能で台上を制し、テンションスポンジの威力でラリー戦を優位に進めることができます。特に、ある程度のパワーがあり、回転を重視した現代的なプレースタイルを目指す選手にとっては、勝利に直結する強力な武器となるでしょう。

一方で、中国製特有の個体差や、性能を引き出すための技術要求といった側面も持ち合わせています。しかし、それらの課題を乗り越えて使いこなすことができれば、ハイエンドラバーにも劣らないパフォーマンスを、よりリーズナブルな価格で手に入れることが可能です。

自分の卓球をもう一段階レベルアップさせたい、粘着ラバーの世界に足を踏み入れたいと考えているプレイヤーにとって、翔龍Ⅱは間違いなく試す価値のある一枚です。

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