なぜ今、ハモンドシリーズが注目されるのか?
卓球において、ラバーは選手のパフォーマンスを直接左右する最も重要な用具の一つです。数多あるラバーの中で、日本の老舗ブランド・Nittaku(ニッタク)が誇る「ハモンドシリーズ」は、長年にわたり多くのプレイヤーから絶大な信頼を得てきました。そして2022年にフラッグシップモデル「Hammond Z2」が登場したことで、その人気は再び沸騰しています。
本記事では、最新モデルのHammond Z2から、長年愛される無印ハモンド、万能型のPower、そして表ソフトのFAまで、ハモンドシリーズの全貌を徹底的に解剖します。各モデルの性能、特徴、そしてどのようなプレイヤーに最適なのかをデータとレビューに基づいて分析し、あなたのラバー選びを全力でサポートします。
Nittakuハモンドシリーズとは?
長きにわたる信頼と革新の歴史
ハモンドシリーズは、その初代モデルから一貫してスピードとスピン、そしてコントロールの高次元での両立を目指してきました。特に、ボールがプラスチック製に移行してからは、その変化に対応するための改良が重ねられています。多くのトッププレイヤーに愛用されてきた実績は、その性能の高さを何よりも雄弁に物語っています。
「Made in Japan」がもたらす品質
ハモンドシリーズの大きな特徴の一つが、日本製であることです。ドイツ製の「ESN」工場で生産されるラバーが多い中、ニッタクは自国での生産にこだわり、独自の品質基準を維持しています。これにより、個体差が少なく、安定した性能を発揮するラバーが生まれます。Hammond Z2が他の多くのブランドとは異なる「Made in Japan」であることが、その独特の打球感や性能に繋がっていると指摘されています。
主力モデル徹底比較:あなたに合うのはどれ?
ハモンドシリーズは、それぞれに明確な個性を持つモデルで構成されています。ここでは、主要な4つのモデルを比較し、その特徴を詳しく見ていきましょう。
Hammond Z2:現代卓球の頂点を目指すパワーヒッターへ
Hammond Z2は、ハードなスポンジと非常にグリップ力の高いトップシートが特徴です。その最強の武器はスピンとパワーであり、ループ、パワードライブ、カウンタードライブで絶大な威力を発揮します。
2022年に発売されたシリーズ最新作にして最高傑作。ButterflyのDignicsシリーズやTenergy 05としばしば比較されるほどの高性能を誇ります。非常に硬いスポンジ(ESN硬度で約52°)を持ちながら、ボールを掴む感覚が強く、強烈な回転を生み出します。そのパワーはまさに圧倒的で、中〜後陣からでも相手を打ち抜く威力を秘めています。ただし、その性能を最大限に引き出すには高い技術レベルが要求されるため、中級者から上級者、特にフォアハンドで決定打を求める攻撃型プレイヤーに最適です。
Hammond(無印):バランスを極めたオールラウンダーの選択
シリーズの原点である「ハモンド」は、ソフトな打球感と優れたコントロール性能が魅力です。非常に柔らかいシートでありながら、スピード性能も高く、まさに「速いのに扱いやすい」を体現したラバーです。スピード78、スピン78、コントロール81(100点満点)と、非常にバランスの取れた性能が示されています。攻撃から守備までそつなくこなせるため、基礎技術を固めたい初級者から、安定感を重視する中級者のオールラウンドプレイヤーまで幅広く対応します。
Hammond Power:安定感と威力を両立する万能ラバー
Hammond Powerは、その名の通りオリジナルのハモンドにさらなるパワーを加えたモデルです。中硬度のスポンジを持ち、ループ、スマッシュ、ブロックといったあらゆる技術を高いレベルで実行できます。「派手さはないが、堅実なオールラウンドラバー」と評されており、特に際立った欠点がないのが強みです。Z2ほどのピーキーさはないため、フォア・バックを問わず安定した攻撃を求めるプレイヤーや、バックハンドで攻守のバランスを取りたい選手におすすめです。
Hammond FA:前陣速攻を制する表ソフトの雄
シリーズ唯一の表ソフトラバーであるHammond FAは、スピードとコントロールを重視した設計が特徴です。表ソフト特有のナックルボールが出やすく、相手の回転の影響を受けにくいので、カウンターやスマッシュで威力を発揮します。「台上でのカウンターヒッティングやスマッシュに最適なラバーの一つ」との声が上がっています。前陣での速いピッチのラリーを得意とする速攻型プレイヤーに最適な一枚です。
データで見るハモンドシリーズの性能
以下の傾向が読み取れます。
- Hammond Z2は、スピードとスピンの両方でシリーズ最高峰に位置しており、極めて攻撃的な性能を持つことがわかります。
- Hammond Power(チャート上ではHAMMOND CRとしてプロット)とHammond(無印)は、Z2よりはマイルドな性能ですが、バランスの取れた位置にあります。
- Hammond FAは、スピン性能は裏ソフトに劣るものの、高いスピード性能を持っていることが特徴です。
さらに、Hammond Z2を市場の主要な競合製品と比較してみましょう。右のレーダーチャートは、Hammond Z2、Butterfly Tenergy 05、Nittaku Fastarc G-1の3つの人気ラバーについて、各種レビューサイトの評価を総合的にまとめたものです。
Hammond Z2は、特にパワー(スピード)とスピン性能でTenergy 05に匹敵、あるいはそれを上回る評価を得ています。一方で、コントロール性能は若干シビアであると評価されており、使いこなすには相応の技術が求められることが示唆されます。Fastarc G-1は、これら2つのラバーと比較すると、よりバランスが取れており、コストパフォーマンスに優れる選択肢と言えるでしょう。
プレースタイル別・最適なハモンドの選び方
ここまでの分析を踏まえ、あなたのプレースタイルに最適なハモンドを選ぶためのガイドをまとめました。
- 威力重視のループ主戦型:迷わずHammond Z2を選びましょう。その圧倒的な回転量とスピードが、あなたの決定力を一段階引き上げます。特にフォアハンドでの使用がおすすめです。
- 安定志向のオールラウンダー:攻守のバランスを重視するならHammond(無印)が最適です。癖がなく扱いやすいため、どんな場面でも安定したプレーをサポートします。バックハンドにも適しています。
- パワーと安定を両立したい欲張りなあなたへ:攻撃的なプレーをしたいけれど、Z2は難しそう…と感じるならHammond Powerが答えです。適度な硬さと弾みで、安定感を損なわずに威力をプラスできます。
- 前陣での超攻撃型:ピッチの速いラリーで相手を圧倒したいならHammond FAです。スマッシュやミート打ちのスピードは特筆もので、相手に時間を与えません。
ハモンドと相性抜群!おすすめ卓球用品
最高のパフォーマンスを引き出すためには、ラバーとラケットの組み合わせも重要です。ここでは、ハモンドシリーズと相性の良い用具をいくつかご紹介します。
ラケット
Hammond Z2のようなハードなラバーには、少ししなりがあり、球持ちの良いラケットを組み合わせるのが定石です。これにより、硬いラバーのパワーを活かしつつ、コントロール性能を高めることができます。
- Nittaku アコースティックカーボン:木材のしなやかさとカーボンの威力を両立した名作。Z2のポテンシャルを最大限に引き出します。
- Donic ワルドナー OFF ワールドチャンピオン 89:Z2との相性の良さが言及されたラケット。純木材のコントロール性能がZ2の暴れ馬ぶりをうまく手なずけてくれます。
メンテナンス用品
高性能なラバーの寿命を延ばすためには、日々のメンテナンスが欠かせません。特にグリップ力の高いZ2は、表面のホコリや汚れに敏感です。
- Nittaku 粘着ラバープロテクト:練習後にラバー表面を綺麗にした後、この保護フィルムを貼ることで、酸化やホコリからラバーを守ります。Hammond Z2には高品質な保護フィルムが最初から付属しているという嬉しいサプライズもあります。
- Nittaku クリーンアワーGS:霧状のスプレーで、ラバー表面の汚れを効果的に落とします。帯電防止効果もあり、ホコリの付着を抑えます。
まとめ:ハモンドシリーズで新たなステージへ
Nittakuのハモンドシリーズは、最先端の技術を追求するトッププレイヤーから、卓球を楽しむ全ての愛好家まで、幅広いニーズに応える多様なラインナップを誇ります。この記事で紹介した情報を参考に、あなた自身のプレースタイルや目指す卓球に最もフィットする一枚を見つけてください。
正しいラバー選びは、あなたの卓球を新たな次元へと導くための第一歩です。ハモンドシリーズと共に、勝利の喜びを掴み取りましょう。




