ヤサカ「マークV M2」徹底レビュー:伝説のラバーが進化、その性能と評価


マークV M2とは?:スピードを追求した進化形

卓球界の「伝説」とも称されるヤサカの「マークV」。長年にわたり、世界中のトッププレイヤーから愛好家まで、幅広い層に支持されてきた高弾性ラバーの代名詞です。その輝かしい歴史を受け継ぎつつ、現代卓球のニーズに応えるべく開発されたのが「マークV M2」です。

マークV M2の最大の特徴は、よりハードな打球感とパワーを求める選手向けに採用された硬いスポンジにあります。オリジナルのマークVが持つ優れたグリップ力を維持しながら、より速い球離れと高いスピード性能を実現。これにより、クラシックなラバーの安定感を保ちつつ、攻撃的なプレーを可能にする一枚として位置づけられています。

「ハードスポンジによるスピード型マークV」というコンセプトの通り、M2はオリジナルのフィーリングを愛しつつも、さらなる一打の威力を求めるプレイヤーにとって待望の選択肢と言えるでしょう。

マークV M2の性能をデータで見る

ヤサカが公式に発表している性能指数を見ると、マークV M2のキャラクターが明確になります。基準となる「マークV」を10とした場合、M2はスピード性能を大きく向上させていることがわかります。

  • スピード: 11
  • スピン: 10-
  • コントロール: 9
  • スポンジ硬度: 45〜50°

公式データによれば、スポンジ硬度は45〜50°と、オリジナル版のマークV(40〜45°)よりも明らかに硬く設定されています。この硬いスポンジが、ボールを強く弾き出し、スピード性能「11」という高い数値を実現する源泉となっています。一方で、コントロール性能は「9」とわずかに低下しており、スピードとのトレードオフの関係性がうかがえます。

以下のグラフは、マークVシリーズの中でも特にキャラクターの異なる「オリジナル」「M2(スピード重視)」「AD(コントロール重視)」の3種類を比較したものです。M2がスピードに特化したモデルであることが一目瞭然です。

ユーザーレビューから探る実打評価

カタログスペックだけでは分からないのが、ラバーの真の魅力です。ここでは、実際にマークV M2を使用したプレイヤーたちのレビューを分析し、その実打性能に迫ります。

スピード:「羊の皮を被った狼」の実力

多くのユーザーが口を揃えるのが、その見た目以上のスピード性能です。「羊の皮を被った狼(a wolf in sheep’s clothing)」と評されるように、軽く打っただけでは標準的な高弾性ラバーですが、強くインパクトすると非常に速いボールが飛び出します。これは、現代の主流であるテンションラバーのような過度な弾み(クレイジーな跳ね返り)がないため、自分の力でボールをコントロールしながらスピードを出したいプレイヤーに高く評価されています。

「強く打てばボールは非常に速い。多くの中級レベルのプレイヤーに適している」というレビューは、M2の特性を的確に表しています。

スピンとコントロールの絶妙なバランス

スピード性能が注目されがちなM2ですが、スピンとコントロールのバランスも秀逸です。レビューでは「スピン性能が過小評価されている」との声が多く見られます。硬めのスポンジとグリップ力のあるトップシートの組み合わせにより、ボールをしっかりと掴んで回転をかけることができ、威力のあるループドライブが可能です。特に、テンションラバー特有の意図しない飛び出しが少ないため、台上技術やカウンターといった繊細なプレーでも安定したコントロールを発揮します。

ただし、一部のユーザーからは「カット(チョップ)には練習が必要」との指摘もあり、守備的な技術よりも攻撃的なオールラウンドプレーでその真価を発揮するラバーと言えるでしょう。

どんなプレースタイル・選手におすすめか?

これらのレビューを総合すると、マークV M2は以下のようなプレイヤーに最適な選択肢と考えられます。

  • クラシックラバーからのステップアップを目指す中級者:基本的な技術が身につき、次のレベルとしてボールの威力を高めたい選手。
  • コントロール志向の攻撃型プレイヤー:テンションラバーの弾みすぎを嫌い、自分のスイングでボールのスピードとコースを制御したい選手。
  • 前〜中陣でのオールラウンドプレイヤー:速いカウンターや安定したループドライブを武器に、バランスの取れた攻撃的な卓球を目指す選手。

あるユーザーは「通常のクラシックラバーから一歩踏み出したいプレイヤーにとって、これこそがその一枚だ」とコメントしており、M2が過渡期のプレイヤーにとって理想的なラバーであることを示唆しています。

他のマークVシリーズとの比較

マークVファミリーには、M2以外にも個性豊かなモデルが存在します。自分のプレースタイルに最適な一枚を選ぶために、それぞれの特徴を理解しておきましょう。

  • マークV(オリジナル):全ての基準となるバランス型。スピード10、スピン10、コントロール10。
  • マークV AD:スポンジを柔らかくし、コントロール性能を向上させたモデル。初心者や女性におすすめ。
  • マークV M2:本記事で紹介。スポンジを硬くし、スピードを追求したモデル。
  • マークV XS:微粘着シートを採用し、スピン性能を強化したモデル。
  • マークV HPS:テンション技術(HPS)を搭載し、反発力を高めた現代的なモデル。

このように、M2はシリーズの中で「スピード」という役割を明確に担っています。安定感を重視するならAD、より現代的な弾みを求めるならHPS、そしてスピードとクラシックな打球感の両立を求めるならM2が最適な選択となります。

まとめ:マークV M2は「買い」か?

ヤサカ「マークV M2」は、伝説的な「マークV」の信頼性と安定感を基盤に、現代卓球に求められるスピード性能を融合させた、非常に完成度の高いラバーです。

その本質は、「自分の力でコントロールできる範囲での最大級のスピード」にあります。テンションラバーのようなオートマチックな弾みではなく、自分のスイングに応じて忠実にボールが飛んでいく打球感は、多くのプレイヤーに安心感と成長の喜びを与えてくれるでしょう。

価格も比較的手頃であり、コストパフォーマンスに優れている点も大きな魅力です。クラシックラバーの打球感を愛しつつ、試合を決定づける一打の威力を手に入れたいと考えるなら、マークV M2は間違いなく試す価値のある一枚です。

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