「バタフライ ロイヤルラージ」という誤解
「バタフライのロイヤルラージ」というキーワードで検索された方もいらっしゃるかもしれませんが、まず重要な点として、「ロイヤルラージ(Royal Large)」は卓球メーカー「ニッタク(Nittaku)」が製造・販売する製品であり、バタフライ(Butterfly)の製品ではありません。
バタフライとニッタクは、どちらも世界をリードする日本の卓球用品メーカーであり、トップ選手から愛好家まで幅広く支持されています。そのため、両社の有名な製品名が混同されることがあります。この記事では、多くのアスリートに愛されるニッタクの名作ラージボール用ラバー「ロイヤルラージ」について、その性能、技術、そして人気の理由を徹底的に解説します。
ニッタク「ロイヤルラージ」とは?基本スペックと特徴
ロイヤルラージは、ニッタクが誇るラージボール用の表ソフトラバーです。もともとは直径44mmのラージボール用に開発されましたが、その卓越した性能から40mm+のプラスチックボールでも高い評価を得ています。数々の全国大会で優勝者が使用した実績もあり、まさに「王道」と呼ぶにふさわしいラバーです。
基本スペック
公式に発表されているロイヤルラージの基本性能は以下の通りです。これらの数値は、ラバーの特性を理解する上で重要な指標となります。
- カテゴリ: ラージボール用表ソフトラバー
- テクノロジー: AC(アクティブチャージ)
- スピード: 15.00
- スピン: 14.00
- スポンジ硬度: 20.0度(ニッタク基準)
- 製造国: 日本
スポンジ硬度20.0は、ニッタクの基準では非常に柔らかい部類に入り、これが後述する高いコントロール性能と食い込みの良さに繋がっています。
主な特徴:万能性と安定感
ロイヤルラージの最大の特徴は、「スピード」「スピン」「コントロール」という3つの要素が極めて高いレベルで調和している点にあります。多くのレビューで「とにかく万能」「弱点がない」と評されるように、特定の性能に特化するのではなく、あらゆる技術をそつなくこなせるバランスの良さが魅力です。これにより、選手は安心してスイングでき、イメージ通りの軌道を描きやすくなります。
ほどよい弾みで、回転とスピードのバランスに長けた王道ラバー。イメージ通りの軌道を描いてくれるため、ラージボールに欠かせない安定したラリーを可能にします。
核心技術「アクティブチャージ(AC)」の秘密
ロイヤルラージの高性能を支えているのが、ニッタク独自の「アクティブチャージ(AC)」技術です。これは、ゴム本来が持つ弾力性能を最大限に引き出し、シートとスポンジに意図的に「張り(テンション)」を持たせる技術です。
このAC技術により、以下のような効果がもたらされます。
- 優れた食い込み:ボールがラバーに当たった際に深く食い込み、ボールをしっかりと掴む感覚が生まれます。これにより、回転をかけやすくなります。
- 高い反発力:相手のボールの威力を吸収しすぎず、まるで弾くように速いボールを打ち出すことができます。これにより、後陣からでも威力のある返球が可能になります。
AC技術は、接着剤などで後から性能を補助するブースターとは異なり、ラバー自体の素材と構造に組み込まれているため、長期間にわたって安定した性能を発揮します。多くのレビューサイトでも、この技術がロイヤルラージのスピードとスピンの両立に貢献していると分析されています。
性能徹底分析:スピード・スピン・コントロールの三位一体
ロイヤルラージの性能を、具体的なプレーシーンとデータを交えてさらに深く掘り下げてみましょう。
スピードとスピンの高性能バランス
ロイヤルラージは、表ソフトラバーとしては異例の高いスピン性能(14.00)を誇ります。これは、縦目に配置された粒形状とAC技術による食い込みの良さの賜物です。サーブやツッツキ、ループドライブといった回転系の技術でも、裏ソフトラバーに近い感覚でボールを操ることが可能です。
同時に、スピード性能も15.00と非常に高く、スマッシュやミート打ちでは直線的で鋭い弾道を描きます。この「回転もかかるのに、弾けば速い」という二面性が、相手を惑わす強力な武器となります。
参考として、同じニッタクのラージ用表ソフト「スペシャリストX」と比較してみましょう。スペシャリストXがスピード重視の設計であるのに対し、ロイヤルラージはスピン性能も高いレベルで両立していることがわかります。
卓越したコントロール性能と打球感
ロイヤルラージのもう一つの核心は、20.0度という非常に柔らかいスポンジにあります。あるレビューでは、カット後の重量がわずか27gだったという報告もあり、その軽さと柔らかさが際立っています。このスポンジがボールの衝撃を適度に吸収し、抜群のコントロール性能を生み出します。特にブロック時には相手の強打の威力を殺し、安定して返球することが容易です。また、ボールを掴む感覚が強いため、台上でのフリックやチキータといった繊細な技術も安定して行えます。
打球感は非常にソフトで、ボールがラバーに「食い込む」感覚がはっきりと伝わります。これにより、プレーヤーは自分の力加減でボールの飛距離や回転量を自在にコントロールしやすくなります。
攻撃・守備におけるパフォーマンス
- 攻撃(ドライブ・スマッシュ):擦るドライブでは弧線を描きやすく、弾くスマッシュでは直線的なスピードボールが出せるなど、打ち方によって球質を変化させられます。特に中陣からのラリーでも飛距離が出るため、安心して打ち合えます。
- 守備(ブロック・ツッツキ):非常に安定しており、レビューでは「当てるだけで入る」と表現されるほどブロックが容易です。相手の回転の影響を受けにくく、ナックル性のブロックで相手を揺さぶることも可能です。
- 台上技術:柔らかいスポンジがボールをしっかり掴むため、ストップやフリック、チキータなどのコントロールがしやすく、先手を取りやすいです。
ロイヤルラージはどんな選手に向いているか?
その万能性から、ロイヤルラージは非常に幅広い層のプレーヤーに適しています。特に以下のような選手には最適と言えるでしょう。
- オールラウンドなプレーを目指す選手:攻撃も守備も高いレベルでこなしたいオールラウンダーにとって、このラバーのバランスの良さは最大の武器になります。
- 多彩な技術で試合を組み立てたい選手:ドライブ、スマッシュ、ブロック、台上技術など、様々な引き出しを駆使して戦術的にプレーしたい選手にぴったりです。
- ラージボール初心者や、どのラバーか迷っている選手:癖が少なく扱いやすいため、最初のラバーとして最適です。ロイヤルラージを基準に、今後自分のプレースタイルに合わせて他のラバーを試していくという使い方もできます。
- 硬式からラージボールに移行する選手:使用者レビューでは、「硬式のイメージで打てる」との声もあり、違和感なく移行しやすい点も評価されています。
ニッタクとバタフライでは性能評価の基準が異なるため、数値の絶対的な比較はできません。しかし、ロイヤルラージが自社のラインナップの中でスピード・スピン共に最高クラスに位置付けられていることが、他社のトップモデルとの比較からも伺えます。
まとめ:なぜロイヤルラージは選ばれ続けるのか
本記事では、「バタフライ ロイヤルラージ」という誤解を解き、ニッタクが誇る名作ラバー「ロイヤルラージ」の全貌を解説しました。
ロイヤルラージが長年にわたりトップ選手から初心者まで幅広く支持され続ける理由は、その圧倒的なまでの「バランス感覚」と「万能性」にあります。AC技術による高いスピード・スピン性能と、非常に柔らかいスポンジが生み出す卓越したコントロール性能。この相反する要素を見事に両立させたことで、「どんな技術でも安定して高いレベルで実行できる」という絶対的な安心感をプレーヤーに与えてくれます。
特定の性能に突出したラバーが数多く存在する中で、ロイヤルラージは「弱点のない優等生」として独自の地位を確立しています。ラージボールの世界でさらなる高みを目指すなら、この王道ラバーを一度試してみる価値は十分にあるでしょう。




