1. バタフライ サフィーラとは?
バタフライの「サフィーラ」は、長年にわたり多くの卓球プレイヤー、特に初心者の成長を支えてきた裏ソフトラバーです。高価で高性能なテンションラバーが市場を席巻する現代において、サフィーラは「卓越したコントロール性能」と「圧倒的なコストパフォーマンス」を武器に、独自の地位を確立しています。
サフィーラは、現代のオールラウンドな戦術において、より攻撃的な要素を求めるすべてのプレイヤーに適したラバーです。初心者からベテランまで、幅広い層がその性能を実感できるでしょう。
この記事では、公式データ、ユーザーレビュー、そして他の定番ラバーとの比較を通じて、バタフライ サフィーラの真の価値と、どのようなプレイヤーに最適なのかを徹底的に掘り下げていきます。
2. 性能分析:データとレビューから見る実力
サフィーラの性能を理解するため、まずは公表されているスペックと、実際に使用したプレイヤーたちの声を分析します。
2.1. 公式スペックと性能バランス
サフィーラの公式スペックは、その特性を明確に示しています。バタフライはスポンジ硬度を「35」と公表しており、これは同社のラインナップの中では比較的柔らかい部類に入ります。この柔らかいスポンジと柔軟なトップシートの組み合わせが、サフィーラの最大の特徴である高いコントロール性能を生み出しています。
複数の卓球用品サイトのデータを統合すると、サフィーラの性能は「コントロール」に大きく偏っていることがわかります。スピードやスピンも一定のレベルを確保しつつ、ボールを意のままに操る安定性が際立っています。
2.2. ユーザーレビューに見る真の評価
データだけでは分からない使用感を知るために、ユーザーレビューを見てみましょう。多くのレビューで共通して指摘されているのは、以下の3点です。
- 抜群のコントロール性能:「自分の思いのままに台の角を狙える」「オーバーミスが全然しなくなった」といった声が多数寄せられています。特に卓球を始めたばかりでボールが安定しないプレイヤーにとって、このコントロール性能は絶大な安心感をもたらします。日本の卓球レビューサイト「卓球ナビ」でも、多くのユーザーがコントロール性能に10点満点中10点をつけています。
- 扱いやすいスピン性能:「シートの引っかかりが良く、簡単に回転をかけれる」と評価されています。スピードは出にくいものの、ドライブが綺麗な弧線を描いて安定して収まるため、回転をかける感覚を養うのに最適です。
- 控えめなスピード:「弾みは物足りない」という意見が支配的です。これは、近年の高性能なテンションラバーと比較した場合の評価であり、サフィーラが意図的に弾みを抑え、コントロールを重視した設計であることを示しています。しかし、「基礎を固めるには十分なスピード」という意見もあり、技術レベルに応じた適切な弾みを提供していると言えます。
総じて、サフィーラは「スピードを犠牲にしてでも、ボールを確実にコントロールし、回転をかける技術を身につけたい」と考えるプレイヤーにとって、理想的なラバーであると評価されています。
3. 他の定番ラバーとの比較
サフィーラの立ち位置をより明確にするため、他の定番ラバーと比較してみましょう。
3.1. フレクストラとの関係:「上位互換」か?
サフィーラを語る上で欠かせないのが、同じくバタフライの初心者向けラバー「フレクストラ」です。両者は非常に似たコンセプトを持っていますが、ユーザーレビューからは微妙な性能差が見えてきます。
フレクストラをベースにコントロールを少し落として回転とスピード性能を上げた感じです。
多くのユーザーが、サフィーラはフレクストラよりもわずかに弾みと回転性能が高いと感じています。その分、コントロール性能はフレクストラに一歩譲るものの、より攻撃的なプレーへの移行を意識し始めるプレイヤーにとっては「フレクストラの上位互換」と捉えることもできます。バタフライ公式も両者を初心者向けラバーとして推奨しており、打球感の好みや、コントロールと攻撃性のどちらをわずかに重視するかで選択が変わってくるでしょう。
3.2. スレイバーとの違い:攻撃性能の進化
かつて一世を風靡した「スレイバー」と比較すると、サフィーラはより現代的なオールラウンドプレーに適した性能を持っています。あるユーザーは「スレイバーよりも攻撃的なポテンシャルがあり、ループがしやすい」と評価しています。サフィーラがスレイバーLよりもスピン性能で優れているというデータも示されており、コントロールを維持しつつ、より回転を重視したプレーが可能になっています。
3.3. 次のステップへ:ロゼナへの架け橋として
サフィーラで基礎技術を習得し、さらなるスピードと威力を求めるようになった時、次のステップとして多くのユーザーが「ロゼナ」を挙げています。
中級者になりたての頃まで使えるけど、レベルが上がるとやはり物足りなくなってきます。ロゼナあたりの前ラバーが最適だと思います。
ロゼナは、バタフライ独自の「スプリングスポンジ」技術を搭載したテンションラバーでありながら、高い寛容性(トレランス)を持つことで知られています。ロゼナは多少の打球点のズレを許容するため、サフィーラのようなコントロール系ラバーからテンションラバーへスムーズに移行するための理想的な「架け橋」となります。
4. サフィーラを推奨するプレイヤーとプレースタイル
これまでの分析から、サフィーラは以下のようなプレイヤーに特に推奨できます。
- 卓球を始めたばかりの初心者:ボールを台に入れる感覚、ラリーを続ける楽しさを学ぶのに最適です。
- 基礎技術を固めたい初〜中級者:安定したフォームでドライブやツッツキを習得したいプレイヤー。
- コントロールを重視するオールラウンド型:速さよりもコースの正確さや回転の変化で勝負するスタイルの選手。
- バック面の安定性を求める選手:フォア面に弾むラバーを貼り、バックハンドはブロックや安定した繋ぎを重視する場合にも適しています。
- 予算を抑えたい学生やホビープレイヤー:2,500円(税抜)という手頃な価格は、大きな魅力です。
5. 最適なラケットの組み合わせ
サフィーラの持つ優れたコントロール性能を最大限に引き出すためには、ラケットとの組み合わせが重要です。一般的に、弾みが控えめな木材合板ラケットとの相性が良いとされています。
ユーザーレビューや販売店の推奨を見ると、以下のようなラケットが挙げられています。
- バタフライ エクスター5:多くのレビューで推奨されており、コントロール性能を重視した組み合わせの鉄板です。
- バタフライ SK7クラシック、コルベル:やや弾みのある木材7枚合板や5枚合板と組み合わせることで、安定性を保ちつつ攻撃力を補うことができます。
- バタフライ アンドレイ・グルッバ、ティモ・ボル J:ジュニア育成用モデルにも採用されており、コントロール系オールラウンドラケットとの相性の良さを示しています。
一方で、一部の上級者はアリレートカーボンなどの特殊素材ラケットと組み合わせ、ラケットのスピード性能でサフィーラの弾み不足を補い、そのコントロール性能を活かすという使い方をしています。これは、ラバーが相手の回転の影響を受けにくいという特性を活かした応用的な組み合わせと言えるでしょう。
6. まとめ:なぜサフィーラは選ばれ続けるのか
バタフライ サフィーラは、決して派手な性能を持つラバーではありません。しかし、その核心には「ボールをコントロールする」という卓球の根源的な楽しさと、上達に不可欠な要素が詰まっています。
卓越したコントロール性能、基礎技術の習得を助ける適度な弾みとスピン、そして何よりも手に取りやすい価格。これらの要素が完璧なバランスで融合しているからこそ、サフィーラは「最初の1枚」として、また時には「基本に立ち返るための一枚」として、時代を超えて多くのプレイヤーに選ばれ続けているのです。
もしあなたが今、どのラバーを選ぶべきか迷っている初心者であるなら、あるいは自分の技術を見つめ直したいと考えている経験者であるなら、サフィーラは間違いなくその期待に応えてくれる賢明な選択肢となるでしょう。




