孫穎莎のラケット・ラバーが注目される理由
卓球の世界ランキング1位に長く君臨する孫穎莎(そん・えいさ/スン・インシャー)選手。2000年11月4日生まれの中国・河北省出身で、2023年世界選手権シングルス優勝、2024年パリ五輪シングルス金メダルなど、数々のタイトルを獲得しています。
「孫穎莎と同じラケットやラバーを使ってみたい」「世界女王はどんな用具を選んでいるのか知りたい」と思ったことはありませんか?トップ選手の用具情報は、自分の用具選びにも大きなヒントを与えてくれます。
この記事では、孫穎莎が実際に使用しているラケット・ラバーの詳細スペックを徹底解説します。さらに、彼女のプレースタイルとの関係や、一般プレーヤーが同じ用具を使う際の注意点まで網羅しました。用具選びに迷っている方は、ぜひ最後までお読みください。
孫穎莎のプレースタイル分析 ─ 用具選びの背景
用具を理解するためには、まずプレースタイルを知ることが重要です。孫穎莎の卓球には、以下のような特徴があります。
- 前陣での高速ラリー:台から離れず、ライジング(バウンド直後)で捉える攻撃が軸
- 回転量の多いサーブ:短い下回転サーブやYGサーブ(逆横回転サーブ)で相手を崩す
- バックハンドの安定感:チキータ(バックハンドフリック)やカウンターの精度が極めて高い
- フットワークの俊敏さ:身長162cmと小柄ながら、広い範囲をカバーする脚力
- 台上技術の巧みさ:ストップやフリックの精度で試合をコントロール
こうしたプレースタイルを最大限に活かすために、孫穎莎は弾みすぎず、コントロール性能が高い用具を選んでいます。特に前陣でのブロックやカウンターを多用するため、ボールを「持つ」感覚が得られるラケットとラバーの組み合わせが重要なのです。
中国代表選手は用具契約の関係でDHS(紅双喜)の製品を使用するケースがほとんどです。孫穎莎も例外ではなく、ラケット・ラバーともにDHSブランドで統一しています。
孫穎莎が使用するラケットの詳細スペック
孫穎莎が使用しているラケットは、DHS(紅双喜)Hurricane Long 5(キョウヒョウ龍5)とされています。これは中国男子のエース・馬龍選手のシグネチャーモデルとして開発されたラケットですが、孫穎莎も愛用していることで知られています。
Hurricane Long 5の基本スペック
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| ブレード構成 | 5枚合板+アリレートカーボン(インナー) |
| ブレードサイズ | 約157mm × 150mm |
| ブレード厚 | 約5.9mm |
| 重量 | 約88〜92g |
| グリップ | FL(フレア)/ ST(ストレート) |
| メーカー | DHS(紅双喜) |
このラケットの最大の特徴は、インナーカーボン構造です。カーボン層がブレードの内側に配置されているため、アウターカーボンと比べて打球感がソフトで、ボールをしっかり掴む感覚が得られます。
孫穎莎のように前陣で細かい台上プレーを多用する選手にとって、この「掴む感覚」は非常に重要です。弾みすぎるラケットでは台上でのストップやフリックのコントロールが難しくなりますが、インナーカーボンならば適度な弾みとコントロール性を両立できるのです。
一方で、アリレートカーボンの恩恵により、強打時にはしっかりとしたスピードが出ます。「繊細なプレーと力強い攻撃を1本で実現できる」という点が、このラケットが多くのトップ選手に選ばれる理由です。
なお、中国のトップ選手が使用する用具は、市販品と全く同じとは限りません。特注仕様(ブレードの厚みや重量の微調整など)が施されている可能性がある点は留意してください。
一般プレーヤーが使う場合のポイント
Hurricane Long 5は中上級者向けのラケットです。初心者がいきなり使うと、重量や打球感に慣れるまで時間がかかるかもしれません。まずは5枚合板やインナーカーボンの他のモデルで基礎を固めてから、ステップアップとして検討するのがおすすめです。
Amazonでは紅双喜(DHS)のラケットやキョウヒョウシリーズが購入可能です。DHS Hurricane Long 5を探している方は、正規品かどうかの確認を忘れずに行いましょう。並行輸入品も多いため、レビューや販売元の信頼性をチェックすることが大切です。
孫穎莎が使用するラバーの詳細 ─ フォア面・バック面を解説
孫穎莎のラバー選びは、フォア面とバック面で異なる特性のラバーを組み合わせている点が注目ポイントです。
フォア面:DHS Hurricane 3 National(キョウヒョウ3 国狂)
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| ラバータイプ | 裏ソフト(粘着性) |
| スポンジ厚 | 約2.15mm(MAXに近い厚さ) |
| スポンジ硬度 | 約40度前後(中国基準) |
| 特徴 | 強烈な回転性能、粘着特有の弧線 |
| メーカー | DHS(紅双喜) |
キョウヒョウ3 国狂(National)は、中国ナショナルチーム用に特別に製造されたバージョンです。市販のキョウヒョウ3とは、スポンジの品質やシートの粘着力が異なるとされています。
このラバーの最大の武器は、圧倒的な回転量です。粘着性のトップシートがボールを強く掴み、ドライブ時に強烈な上回転をかけることができます。孫穎莎のフォアハンドドライブが相手コートで急激に沈むのは、この粘着ラバーによる回転の恩恵が大きいのです。
また、粘着ラバーはサーブの回転量を増やす効果も大きく、孫穎莎の切れた下回転サーブやYGサーブの精度を支えています。一方で、粘着ラバーは一般的にスピード性能ではテンション系ラバーに劣ります。しかし、孫穎莎はスイングスピードとインパクトの強さでスピード不足を完全に補っています。
バック面:DHS Hurricane 3(キョウヒョウ3)もしくはテンション系
孫穎莎のバック面については、時期によって情報が異なります。以前はバック面にもキョウヒョウ3系を使用していましたが、近年はDHSのテンション系ラバーを使用しているという情報もあります。
中国選手のバック面のトレンドとして、近年はテンション系ラバーを採用するケースが増えています。その理由は以下の通りです。
孫穎莎のバックハンドは非常にコンパクトなスイングで威力を出すスタイルです。テンション系ラバーの反発力を活かすことで、少ない力でもスピードのあるボールを送ることができます。
バック面の候補としては、DHS Hurricane 8やDHS National Hurricane 3(ブルースポンジ)などが挙げられます。ブルースポンジ仕様は通常のオレンジスポンジよりも弾性が高く、粘着ラバーでありながらテンション系に近い弾みを実現しています。
一般プレーヤー向けの代替ラバー
国狂バージョンは一般流通が限られているため、市販品で近い性能を求める場合は以下のラバーが候補になります。
- DHS キョウヒョウ NEO 3:市販品の中では国狂に最も近いとされるモデル。已打底(すでに接着剤が塗られた)仕様で弾みがプラスされています。
- Nittaku キョウヒョウ プロ3 ターボオレンジ:日本のニッタクが販売するキョウヒョウ系ラバー。日本製スポンジを組み合わせ、扱いやすさを向上させたモデルです。
- DHS キョウヒョウ 8:テンション系に近い弾みを持つ粘着ラバー。バック面に使いたい方におすすめです。
Amazonではキョウヒョウ NEO 3やキョウヒョウ プロ3 ターボオレンジが購入可能です。特にターボオレンジは日本国内での流通が安定しており、品質のばらつきも少ないため、粘着ラバー初挑戦の方にも向いています。
孫穎莎の用具と他のトップ選手との比較
孫穎莎の用具構成をより深く理解するために、他の世界トップ選手との比較を見てみましょう。
| 選手名 | ラケット | フォア面ラバー | バック面ラバー |
|---|---|---|---|
| 孫穎莎(中国) | DHS Hurricane Long 5 | キョウヒョウ3 国狂 | キョウヒョウ系/テンション系 |
| 陳夢(中国) | DHS Hurricane Long 5 | キョウヒョウ3 国狂 | キョウヒョウ系 |
| 王曼昱(中国) | DHS系ラケット | キョウヒョウ3 国狂 | テンション系 |
| 伊藤美誠(日本) | Nittaku アコースティック | ファスターク G-1 | モリストSP |
| 早田ひな(日本) | Nittaku系ラケット | テナジー05 | テナジー05 |
中国選手はフォア面に粘着ラバー(キョウヒョウ系)を使用する点で共通しています。これは中国卓球の伝統的なスタイルであり、回転を重視する戦術と密接に結びついています。
一方、日本選手はテンション系ラバー(テナジーやファスタークなど)を主に使用するケースが多く、スピード重視の傾向があります。伊藤美誠選手のバック面は表ソフトラバーで、これは異質攻守型の特殊なスタイルです。
この比較から分かるのは、用具選びはプレースタイルと直結しているということです。孫穎莎が粘着ラバーを使うのは、回転で相手を崩す中国卓球の戦術体系の中で最も合理的な選択なのです。
孫穎莎と同じ用具を使いこなすためのコツ
「孫穎莎と同じラケット・ラバーを使ってみたい」という方に向けて、実践的なアドバイスをお伝えします。
1. 粘着ラバーの特性を理解する
粘着ラバーは、テンション系ラバーとは打ち方が異なります。以下のポイントを意識しましょう。
- ボールを擦るように打つ:テンション系のように「当てるだけ」では回転がかかりません。しっかりとスイングしてボールを擦る意識が重要です。
- スイングスピードを上げる:粘着ラバーの性能を引き出すには、ある程度のスイングスピードが必要です。筋力トレーニングやフォーム改善に取り組みましょう。
- 弧線を意識する:粘着ラバーはボールに高い弧線を描かせることが得意です。ネットの上を高めに通す意識で打つと、安定感が増します。
2. ラケットの重量に慣れる
Hurricane Long 5にキョウヒョウ3を両面に貼ると、総重量は180g〜195g程度になることが多いです。これは卓球のラケットとしてはかなり重い部類に入ります。
重いラケットのメリットは、ボールに重みが出ること、ブロックが安定することです。しかし、振り遅れや疲労の原因にもなります。最初は軽めのセットアップから始めて、徐々に重量を上げていくのが安全です。
3. 補助剤(ブースター)について
中国選手が粘着ラバーに補助剤(ブースター)を使用しているという話は有名です。補助剤を塗ることでスポンジが膨張し、弾みが大幅にアップします。ITTF(国際卓球連盟)のルールでは、VOC(揮発性有機化合物)を含まない補助剤の使用は事実上黙認されている状況です。
一般プレーヤーが市販のキョウヒョウ3を使う場合、補助剤なしでは弾みが物足りなく感じるかもしれません。その場合は、已打底(イダテイ)仕様のキョウヒョウ NEO 3を選ぶか、ターボオレンジのような弾みを改善したモデルを検討すると良いでしょう。
4. メンテナンスを怠らない
粘着ラバーはホコリや汚れに弱いという特性があります。粘着力が落ちると回転性能も低下するため、練習後のケアが重要です。
- 専用のクリーナーとスポンジでラバー表面を拭く
- 保護フィルム(粘着保護シート)を貼って保管する
- 直射日光や高温を避けて保管する
Amazonでは卓球ラバー用クリーナーや粘着保護シートが手頃な価格で購入できます。特にDHS純正の保護フィルムは粘着ラバーとの相性が良く、粘着力の維持に効果的です。また、バタフライのラバーケアセットも人気があり、クリーナーとスポンジがセットになっているので便利です。
一般プレーヤーにおすすめ!孫穎莎モデルに近い用具セットアップ
孫穎莎とまったく同じ用具を揃えるのは難しいですが、近い性能を持つ市販品の組み合わせを紹介します。レベル別にまとめましたので、参考にしてください。
中級者向けセットアップ
| 部位 | おすすめ用具 | 理由 |
|---|---|---|
| ラケット | DHS Power G7 または Nittaku 馬龍カーボン | インナーカーボン構造で扱いやすい |
| フォア面 | キョウヒョウ NEO 3(已打底) | 市販品で最も国狂に近い性能 |
| バック面 | ニッタク ファスターク G-1 または テナジー64 | 弾みが良く、バックハンドが安定 |
上級者向けセットアップ
| 部位 | おすすめ用具 | 理由 |
|---|---|---|
| ラケット | DHS Hurricane Long 5 | 孫穎莎と同じモデル |
| フォア面 | キョウヒョウ NEO 3(已打底)またはターボブルー | 回転性能と弾みを両立 |
| バック面 | DHS Hurricane 8 または テナジー05 | カウンターやチキータに対応 |
Amazonでは上記の用具がそれぞれ購入可能です。特にキョウヒョウ NEO 3は、粘着ラバーの入門としても人気が高く、レビュー数も多いので参考になるでしょう。テナジー05は価格が高めですが、性能の安定感は抜群で、バック面に使用する日本のトップ選手も多い信頼のラバーです。
また、初めて粘着ラバーを試す方には、YASAKA 翔龍もおすすめです。粘着とテンションの中間的な性能で、粘着特有のクセが少なく、移行しやすいラバーとして評価されています。
孫穎莎の用具変遷と今後の動向
トップ選手の用具は常に進化し続けています。孫穎莎の用具も、ジュニア時代から現在まで変化してきました。
ジュニア時代〜シニアデビュー期
ジュニア時代は、より軽量で扱いやすいラケットを使用していたとされています。中国のジュニア選手は、まず5枚合板の純木材ラケットで基礎技術を徹底的に鍛えます。その後、実力に応じてカーボン入りのラケットに移行するのが一般的な流れです。
現在の用具への移行
シニアの国際大会で結果を出し始めた頃から、現在のHurricane Long 5+キョウヒョウ3 国狂の組み合わせに落ち着いたと見られています。この組み合わせは、馬龍選手をはじめとする中国男子トップ選手と共通する部分が多く、中国ナショナルチームの「標準装備」とも言える構成です。
今後の展望
2024年以降、DHSは新素材を使ったラケットやラバーの開発を進めています。孫穎莎が新モデルに移行する可能性も十分にあります。特に注目されているのは以下の点です。
プラスチックボール時代になり、従来のセルロイドボール時代と比べて回転量が減少傾向にあります。このため、より回転をかけやすい用具への需要が高まっており、粘着ラバーの進化は今後も続くでしょう。孫穎莎の用具動向は、世界の卓球用具トレンドを占う意味でも注目に値します。
まとめ ─ 孫穎莎のラケット・ラバーから学ぶ用具選び
この記事のポイントを整理します。
- 孫穎莎はDHS Hurricane Long 5(インナーカーボンラケット)を使用
- フォア面はキョウヒョウ3 国狂(粘着ラバー)で、圧倒的な回転量を実現
- バック面はキョウヒョウ系またはテンション系ラバーで、スピードと安定感を確保
- 用具選びはプレースタイルと密接に関連しており、前陣での回転主体の攻撃に最適化されている
- 一般プレーヤーが同じ用具を使う場合は、粘着ラバーの特性を理解し、段階的にステップアップするのがおすすめ
- 市販品ではキョウヒョウ NEO 3やターボオレンジが国狂の代替として人気
- 粘着ラバーの性能維持には日々のメンテナンスが不可欠
孫穎莎の用具は、彼女の卓越した技術と身体能力があってこそ最大限の性能を発揮します。単にプロと同じ用具を使うだけでなく、なぜその用具が選ばれているのかを理解した上で、自分のレベルやプレースタイルに合った用具を選ぶことが上達への近道です。
よくある質問(FAQ)
孫穎莎が使用しているラケットは何ですか?
孫穎莎はDHS(紅双喜)のHurricane Long 5(キョウヒョウ龍5)を使用しています。5枚合板にアリレートカーボンをインナーに配置した構造で、コントロール性能と攻撃力を両立したラケットです。
孫穎莎のフォア面のラバーは何ですか?
フォア面にはDHS キョウヒョウ3 国狂(National)バージョンを使用しています。中国ナショナルチーム用に特別製造された粘着ラバーで、強烈な回転性能が特徴です。市販品ではキョウヒョウ NEO 3が最も近い性能とされています。
一般プレーヤーでも孫穎莎と同じ用具を使えますか?
市販品で近いモデルを購入することは可能です。ただし、国狂バージョンのラバーは一般流通が限られているため、キョウヒョウ NEO 3やキョウヒョウ プロ3 ターボオレンジが代替品としておすすめです。また、粘着ラバーはある程度のスイングスピードが必要なため、中級者以上の方に向いています。
粘着ラバーとテンション系ラバーの違いは何ですか?
粘着ラバーはシート表面に粘着力があり、ボールを掴んで強い回転をかけやすいのが特徴です。一方、テンション系ラバーはスポンジに張力(テンション)がかかっており、軽い力でもボールが飛びやすくスピードが出ます。孫穎莎はフォア面に粘着ラバーを使い、回転で相手を崩す戦術を得意としています。
孫穎莎の用具の総重量はどのくらいですか?
Hurricane Long 5に両面キョウヒョウ3系ラバーを貼った場合、総重量は約180〜195g程度になると推定されます。一般的な卓球ラケットのセットアップと比べるとやや重い部類に入りますが、この重さがブロックの安定感やボールの威力につながっています。
孫穎莎の用具はAmazonで買えますか?
DHS Hurricane Long 5やキョウヒョウ NEO 3はAmazonで購入可能です。ただし、並行輸入品が多いため、正規品かどうかの確認が重要です。販売元の評価やレビューをしっかりチェックしてから購入することをおすすめします。
孫穎莎と同じ用具を使えば上達しますか?
用具だけで劇的に上達することは難しいですが、自分のプレースタイルに合った用具を選ぶことは上達の助けになります。孫穎莎の用具は前陣での回転重視のプレーに最適化されているため、同様のスタイルを目指す方には参考になるでしょう。大切なのは、用具の特性を理解した上で練習を重ねることです。



