【徹底解説】卓球ラバー「輝龍」シリーズの性能と選び方|初心者から上級者まで


なぜ卓球ラバー選びが重要なのか?

卓球は、ラケットとボールさえあれば誰でも手軽に始められるスポーツですが、その奥深さは用具選びから始まります。特に、ボールに直接触れるラバーは、打球のスピード、回転、コントロールといったプレーの質を決定づける最も重要な要素です。自分に合わないラバーを使い続けると、技術の習得が遅れたり、思い通りのプレーができなかったりする原因にもなりかねません。

現在、市場には数多くのラバーが存在し、それぞれが異なる特性を持っています。その中でも、日本の老舗卓球メーカー「ヤサカ(Yasaka)」が開発した「輝龍(きりゅう)」シリーズは、「粘着ラバーの回転力」と「テンションラバーのスピード」を両立させた画期的な製品として、多くのプレイヤーから注目を集めています。この記事では、「輝龍」シリーズの性能を徹底的に分析し、どのようなプレイヤーにおすすめなのかを、初心者にも分かりやすく解説します。さらに、Amazonで購入できる関連卓球用品もご紹介しますので、ぜひあなたのラバー選びの参考にしてください。

第1章:プレースタイルを決める!卓球ラバーの基本知識

「輝龍」を理解する前に、まずは卓球ラバーの基本的な知識を押さえておきましょう。ラバーの特性を知ることが、最適な一枚を見つけるための第一歩です。

ラバーの主な種類

卓球のラバーは、大別するとシート(表面のゴム)の形状によっていくつかの種類に分けられます。最も一般的なのは「裏ソフトラバー」で、現代卓球の主流となっています。

  • 裏ソフトラバー:シート表面が平らで、強い回転をかけやすいのが特徴。ドライブやスマッシュなど、攻撃的なプレーに適しています。本記事で紹介する「輝龍」もこのタイプに分類されます。
  • 表ソフトラバー:シート表面に円柱状の粒が並んでおり、ボールの回転の影響を受けにくく、ナックルボール(無回転)を出しやすいのが特徴です。速攻型の選手に好まれます。
  • 粒高ラバー:表ソフトよりも粒が高く細いラバー。相手の回転を利用して変化のあるボールを返す守備的なプレー(カットマンなど)に適しています。
  • アンチスピンラバー:シート表面の摩擦が極端に少なく、相手の回転を無効化する特殊なラバーです。

ルール上、ラケットの両面にラバーを貼る場合は、赤と黒の異なる色を貼る必要があります。

自分に合ったラバーを選ぶ3つのポイント

無数の選択肢の中から自分に合うラバーを選ぶには、以下の3つのポイントを考慮することが重要です。

  1. 自分のレベルを把握する:初心者はまず、ボールをコントロールする感覚を養うことが大切です。そのため、スピードやスピン性能が極端に高いプロ仕様のラバーよりも、コントロール性能に優れたものや、スポンジが柔らかめでボールが食い込む感覚を掴みやすいラバーがおすすめです。
  2. 目指すプレースタイルを考える:前陣で速いテンポの攻撃をしたいのか、中・後陣から回転量の多いドライブで攻めたいのか、あるいは粘り強い守備で相手のミスを誘いたいのか。自分の理想とするプレースタイルによって、選ぶべきラバーの性能(スピード重視、スピン重視、コントロール重視)は大きく変わります。
  3. フォア面とバック面の組み合わせ:多くの選手は、得意な技術を繰り出すフォア面と、レシーブや繋ぎの技術で使うことが多いバック面で、異なる種類のラバーを使用します。例えば、フォア面には威力のある裏ソフト、バック面には安定感のあるラバーを組み合わせるなど、自分の戦術に合わせてバランスを考えましょう。

第2章:ヤサカ「輝龍」シリーズとは?

数あるラバーの中でも、ヤサカの「輝龍」シリーズは独特の立ち位置を確立しています。ここでは、そのコンセプトと特徴について掘り下げていきましょう。

粘着ラバーの常識を覆す「テンション系粘着ラバー」

「輝龍」は、「テンション系粘着ラバー」というカテゴリに分類されます。これを理解するために、まず2つの要素に分解してみましょう。

  • 粘着ラバー:主に中国製のラバーに多く見られるタイプで、シート表面に強い粘着性(ベタベタ感)があります。ボールをシートに「くっつけて」投げるように打つことで、非常に強烈な回転を生み出せるのが最大の武器です。しかし、弾みが弱く、飛ばすためには相応のパワーが必要なため、扱いが難しいという側面がありました。
  • テンションラバー:ゴム分子の緊張(テンション)を高める技術により、高い反発力を実現したラバー。少ない力でもスピードのあるボールが打てるため、現代卓球の主流となっています。

「輝龍」シリーズは、この2つの長所を融合させたラバーです。つまり、粘着シートによる強烈なスピン性能と、テンションスポンジによる高い反発力(スピードと飛距離)を両立させることを目指して開発されました。これにより、従来の粘着ラバーの「扱いにくい」という弱点を克服し、より幅広いプレイヤーがその回転性能の恩恵を受けられるようになりました。

初代「輝龍」と進化した「輝龍Ⅱ」

「輝龍」シリーズには、初代の「輝龍」と、その性能をさらに進化させた後継モデル「輝龍Ⅱ」が存在します。

ヤサカの裏ソフトラバーである『輝龍』と『翔龍』は、ともに中国製の粘着ラバーです。中国製ラバーは扱うのが難しいとされていますが、この『輝龍』と『翔龍』はともに扱いやすさが大きな特徴です。その中でも、『輝龍』はより扱いやすく、『翔龍』は少し扱いにくいものの中国製ラバーらしい回転量があります。

初代「輝龍」は、同社の粘着ラバー「翔龍」の持つスピン性能を維持しつつ、軽量化と反発力向上を実現し、「扱いやすさ」を追求したモデルです。一方、「輝龍Ⅱ」は、そのコンセプトを継承しながらトップシートとスポンジを再設計。より強烈な回転とパワー効率を高め、中級者から上級者まで満足できる性能へと進化を遂げています。

第3章:初代「輝龍」の性能を徹底レビュー

まずはシリーズの原点である初代「輝龍(B-52)」の性能を詳しく見ていきましょう。このラバーは、特に「粘着ラバーを使ってみたいけれど、難しそうで手が出せない」と感じていた中級者層から高い評価を得ました。

公式スペックと性能バランス

ヤサカが公表している「輝龍」のスペックは以下の通りです。スピン性能を最高レベルに保ちながら、スピードとコントロールも高い次元でバランスが取れていることがわかります。

スポンジ硬度は45〜50度と設定されており、これはテンションラバーの中ではやや硬めの部類に入りますが、粘着ラバーとしては扱いやすい硬さです。この絶妙な硬度設定が、ボールをしっかり掴んで回転をかける感覚と、弾き出すスピード感の両立に寄与しています。

3つの際立った特徴:扱いやすさ・軽量性・スピン性能

「輝龍」が多くのプレイヤーに受け入れられた理由は、主に以下の3つの特徴に集約されます。

  1. 従来のテンションラバーに近い感覚で扱える:粘着ラバー特有の「飛ばない」感覚が大幅に軽減されています。テンション効果の高いスポンジがボールをしっかりと飛ばしてくれるため、これまでテンションラバーを使用してきたプレイヤーも違和感なく移行しやすいのが大きなメリットです。
  2. 驚異的な軽量性:粘着ラバーは一般的に重量が重くなる傾向がありますが、「輝龍」は同硬度のラバーと比較して約10%の軽量化に成功しています。これにより、ラケットの総重量を抑えることができ、スイングスピードの向上や操作性の改善に繋がります。特に、フォア面に重いラバーを貼った際のバック面のラバーとして、重量バランスを取るのに最適です。
  3. 高いグリップ力によるスピン性能:軽量化や扱いやすさを実現しつつも、粘着性トップシートのグリップ力は健在です。サーブやツッツキなどの台上技術ではボールを鋭く切ることができ、ドライブでは相手コートで沈み込むような回転量の多いボールを打つことが可能です。

使用者レビューから見る「輝龍」のリアルな評価

卓球用品レビューサイト「卓球ナビ」には、実際に「輝龍」を使用したプレイヤーからの多くの声が寄せられています。その平均評価は10点満点中7.95点(レビュー84件時点)と高く、特にスピン性能が8.26点と突出しています。

レビュー内容を見ると、以下のような意見が多く見られます。

  • 「初めての粘着ラバーにおすすめできます!」
  • 「翔龍に比べて粘着力は少ないです。しかし翔龍より圧倒的にコントロールがいいです!」
  • 「個人的にはカウンターブロックがやりやすかったです!」
  • 「バックハンドが安定して入りやすいラバーだなと思いました。引っかかりも良いし、そこまで重量も無いので振り遅れは無いです。」

これらのレビューから、「輝龍」は粘着ラバー入門に最適な一枚であり、特にコントロールと安定性を重視するラリー型の選手や、バック面での使用を考えている選手から高い支持を得ていることがうかがえます。

第4章:進化した「輝龍Ⅱ」の実力

初代「輝龍」の成功を受け、ヤサカはさらに性能を追求した「輝龍Ⅱ(B-54)」をリリースしました。このラバーは、初代の「扱いやすさ」というコンセプトを維持しつつ、より現代卓球のニーズに応えるべくチューニングされています。

初代からの進化点と性能

「輝龍Ⅱ」は、新設計の粘着性トップシートと、やや柔らかめのテンションスポンジを組み合わせています。これにより、「パワーがなくても扱いやすい」という特徴が加わり、より幅広いレベルのプレイヤーに対応可能となりました。

公式スペックでは、スピン性能が「14-」と初代の「13+」からさらに強化されている一方で、スピードは「10-」と若干抑えめになっています。これは、単純な最高速度よりも、回転をかけた際のボールの質や安定性を重視した設計思想の表れと言えるでしょう。

プロも評価するコストパフォーマンスと打球感

ヤサカ契約選手である加山裕選手は、「輝龍Ⅱ」について非常に高く評価しています。彼はその打球感を「ハイエンドの中国製粘着ラバーと、粘着テンションラバーの中間のよう」と表現しています。

「硬さや粘着は中国製の粘着ラバー、ボールの飛びやグリップ力は粘着テンションという感じですね。このラバーが5,500円(定価)というのは凄い。コストパフォーマンスはめちゃくちゃ良いと思います」

プロ選手が認めるほどの性能を持ちながら、価格が抑えられている点は「輝龍Ⅱ」の大きな魅力です。また、「自分の力で思い切り回転をかけてボールを飛ばさないといけない」という従来の粘着ラバーのイメージとは異なり、「良い意味でボールを勝手に飛ばしてくれる」ため、プレーに余裕が生まれると語っています。

「輝龍Ⅱ」が活きるプレースタイル

レビューを総合すると、「輝龍Ⅱ」は以下のようなプレースタイルの選手に特に適していると考えられます。

  • 中級者から上級者:初代よりもシートが硬くしっかりしているため、ある程度のインパクトでボールを捉えられる中〜上級者が性能を引き出しやすいです。
  • サーブ・3球目攻撃を重視する速攻型:球離れが純粋なテンションラバーより遅く、回転をかけやすいため、質の高いサーブからの3球目攻撃で先手を取りたい選手に向いています。
  • 質の高い繋ぎを求める選手:相手の強打に対して、回転をかけ返して伸ばすようなブロックがやりやすいという評価があります。バック面に使用し、安定したラリー展開からチャンスメイクを狙う戦術にもマッチします。

一方で、台から下がってパワーのあるドライブを連打するようなプレースタイルには、弧線の高さに限界があるため、あまり向いていないとの意見もあります。

第5章:あなたに合うのはどっち?「輝龍」シリーズの選び方

ここまで初代「輝龍」と「輝龍Ⅱ」の特徴を見てきました。では、あなたはどちらを選ぶべきでしょうか?それぞれのラバーがおすすめなプレイヤー像をまとめました。

  • 初代「輝龍」がおすすめな人
    • これから初めて粘着ラバーに挑戦する入門者・初級者
    • 威力よりも、ラリーでの安定感やコントロールを最優先したい選手。
    • ラケットの総重量をできるだけ軽くしたい選手。
    • バック面で安定したブロックや繋ぎのプレーをしたい中級者
  • 「輝龍Ⅱ」がおすすめな人
    • 粘着ラバーの回転量とテンションラバーのスピード感を両立させたい中級者〜上級者
    • コストパフォーマンスを重視し、高性能なラバーを手頃な価格で手に入れたい選手。
    • サーブや台上技術で主導権を握り、速い展開の卓球を目指す選手。
    • 粘着ラバー特有のクセ球を利用しつつ、安定したプレーをしたい選手。

自分のレベルや目指すプレースタイルと照らし合わせて、最適な一枚を選んでみてください。

第6章:Amazonで揃える!「輝龍」に合うおすすめ卓球用品

ラバーを決めたら、次はそれに合うラケットやボールも揃えたいところです。ここでは、Amazonで購入可能なおすすめの卓球用品をご紹介します。(※価格は変動する可能性があります)

対象ラバー:「輝龍」&「輝龍Ⅱ」

ヤサカ(YASAKA) 卓球 ラバー 輝龍 B-52 / 輝龍Ⅱ B-54

本記事で紹介した「輝龍」シリーズ。粘着ラバー入門には初代「輝龍」、より高い性能とコストパフォーマンスを求めるなら「輝龍Ⅱ」がおすすめです。自分のプレースタイルに合わせて厚さ(中・厚・特厚)を選びましょう。

おすすめラケット

ヤサカ(YASAKA) 卓球 ラケット 馬林エキストラスペシャル

木材7枚合板ラケットで、多くのユーザーレビューで「輝龍」との組み合わせが推奨されています。木材ならではのしなりと球持ちの良さが、輝龍の回転性能を最大限に引き出します。威力と安定性のバランスに優れた一本です。

ヤサカ(YASAKA) 卓球 ラケット スウェーデンEKカーボン

軽量でありながら高い反発力を持つカーボン素材を搭載したラケット。軽量な「輝龍」と組み合わせることで、非常に振り抜きやすく、スピーディーな卓球が可能です。コントロール性能も高く、初心者から中級者まで幅広く対応します。

おすすめ卓球ボール

ニッタク(Nittaku) 卓球 ボール 3スター プレミアム クリーン

数々の国際大会で使用されている、信頼性の高い試合球です。価格比較サイトでも常に人気ランキング上位に位置しており、その品質は折り紙付き。安定した弾みと回転性能で、質の高い練習が可能です。

ヤサカ(Yasaka) 卓球 トレーニングボール

日々の練習には、コストパフォーマンスに優れた練習球が欠かせません。ヤサカのトレーニングボールは、試合球に近い性能を持ちながらも価格が抑えられており、多球練習に最適です。品質に定評のあるメーカー製なので安心して使用できます。

まとめ:輝龍で自分のプレースタイルを確立しよう

ヤサカの「輝龍」シリーズは、粘着ラバーの持つ「強烈な回転」という魅力を、テンションラバーの「扱いやすさ」と融合させることで、多くのプレイヤーに新たな可能性を提示しました。

  • 初代「輝龍」は、粘着ラバーへの第一歩を踏み出すのに最適な、コントロールと軽量性に優れたラバー。
  • 「輝龍Ⅱ」は、そのコンセプトを昇華させ、高いスピン性能とコストパフォーマンスで中〜上級者をも満足させる実力派ラバー。

この記事を参考に、ぜひあなたにぴったりの「輝龍」を見つけてください。自分に合ったラバーは、卓球をさらに楽しく、そしてあなたを次のレベルへと導いてくれるはずです。最高の用具と共に、理想のプレーを追求していきましょう。